生き別れた母子 1
離婚で生き別れになってしまった母子が裁判所で再会する話です。
裁判所の山桜の花びらが風に舞っている。
仕事に追われていると、つい季節の移り変わりに鈍感になるものだ。
しかし、季節が移るたびに身を削られる思いをしている人が何と多いことか。
私のように人生の断面に出会う職業では、事件の当事者の気持ちが敏感に私自身の気持ちに反映してしまう。
特に女性の気持ちが。
今朝は、子と引きさかれた母親の悲しみが心を占めている。
昨日午後、一年半ぶりの母子の対面に立ち合った。
場所は裁判所和解室。
姑とマザーコンプレックスの夫の二人がかりで、徹底的にいじめぬかれた妻は、一年半前に耐え切れずに息子(当時四歳)を連れて家を出た。
しかし、子にとっては父親が必要だと周囲の者から説得され、夫にあやまった。
夫は、「戻ってもいいが今はおぽあさんが非常におこっている。
半年間、子をわしとおぽあさんに預けておまえ一人で暮らせ」と言った。